機能性表示食品の開発は食品や飲料のメーカーにとって売上を伸ばすチャンスを生み出します。ただ、機能性表示食品の開発には気を付けた方が良い点もあります。この記事ではなぜ機能性表示食品を開発すると売上が伸びると期待できるのかをまず紹介します。
そして、何に注意しなければならないのかを解説するので参考にしてください。
機能性表示食品を開発すると売上が伸びるのは、高い単価の新製品を市場に出すことができるからです。保健機能食品の一つとされている機能性表示食品は、消費者庁に認められているだけでも消費者にとって魅力があります。
一般食品に比べて付加価値が高い食品だと捉えてもらえるため、機能性表示食品は価格を上げて販売しても売れる可能性が高いのが特徴です。一般的な傾向として、食品は単価が低いので薄利多売を計画しなければなりません。
しかし、機能性表示食品なら単価を数割増しにできるため、利幅を取りやすいのがメリットです。既に一般食品として販売されている製品に機能性関与成分が十分に含まれている場合には、新しい製品開発をせずに消費者庁に届出をするだけでも機能性表示食品にできます。
消費者からも認知されている食品を機能性表示食品にしてもなかなか価格は上げられませんが、注目されるようになって競争力が高まるでしょう。結果として販売数が増えて売上が伸びるということもあります。また、既に販売している製品に付加価値として機能性関与成分を添加し、ブランドにして販売する戦略を取ることも可能です。
ブランドネームが消費者に知られているなら、そのシリーズの中に機能性表示食品が出たということで話題になるでしょう。既存の製品より価値が高いものだと消費者も考えるため、単価が高くても購入してくれると期待できます。
このような考え方で合理的に単価を上げることもできるため、売上を伸ばしやすいのが機能性表示食品の魅力です。
機能性表示食品は宣伝や広告をするときに魅力やメリットをわかりやすくアピールできるのも売上が伸びる理由です。機能性表示食品として消費者庁に届出をするときには、機能性について表示内容やパッケージ上の表示場所などを明確に決めなければなりません。
ただ、食品の機能性の表示内容はパッケージにしか使えないわけではなく、公式サイトの製品情報ページに掲載することも、プロモーションビデオに表示することも、チラシにプリントすることも可能です。機能性表示食品の魅力は機能性の表示ができて、消費者が選ぶメリットを直接的に伝えられることです。
そのメリットを生かしてセールスプロモーションをおこなえます。さらに機能性関与成分についての情報を発信したり、機能性表示食品の表示内容についての科学的根拠の資料を解説したりすることも認められています。消費者が正しく理解して選べるようにするための情報は公式サイトやブログ、SNSや広告などを通して広めることが可能なのです。
そのため、よくわからない機能性表示食品だから手を出すのはやめておこうと思っている消費者にも魅力を理解してもらい、納得の上で購入させることができます。このように積極的に消費者にアプローチしていけば売上を着実に伸ばしていけるでしょう。
機能性の表示も説明も認められていない一般食品ではできないことです。
機能性表示食品の開発によって売上が伸びるのは、ブランディング効果によって他の製品も売れるようになることがよくあるからです。商品を開発しても、企業のブランドとしての認知度が低くてなかなか売れないということがよくあります。
大手企業の有名製品が並んでいる商品棚に、名前を聞いたことがない会社の製品が置いてあったとしても手に取る消費者は少ないでしょう。よく知られていて皆が選んでいる製品の方が安心感があるからです。しかし、無名の会社の製品でも機能性表示食品と表示されていたら興味関心を持つ人が出てきます。
どんな効果があるのかが気になって、まずは見てみたいと思うからです。このような効果によって会社名やロゴなどを覚えてもらえると、機能性表示食品だけでなく、他の製品にも消費者が目を向けるようになります。特に機能性表示食品に期待していた効果があったと実感できた場合には、他の製品にも魅力があるだろうと考えてくれる可能性が高まります。
すると他の製品が今までよりも売れるようになって売上が全体として伸びるのです。
機能性表示食品は開発すれば確かに売上が伸びると考えられます。しかし、売上が伸びたとしても利益が出なければ企業としては新製品開発に成功したとは言えないでしょう。実は機能性表示食品はコストが高いので売上が伸びても利益が下がるリスクがあります。
機能性表示食品の開発コストが高いのがまず注意点です。機能性表示食品として認められるためには機能性の表示内容についての科学的根拠が必要になります。情報が不足している場合には自社で試験をしなければならないため、かなりのコストをかけることになるのが一般的です。
さらに届出の書類の作成にも外部機関を使用すると大きなコストがかかります。また、機能性表示食品は営業やマーケティングのコストも上がりがちです。魅力をアピールできるメリットを生かすためには積極的な営業やマーケティングが必要になります。
このようなコストも加味して売上を伸ばさなければ利益にならないので気を付けましょう。
機能性表示食品のブランディング効果はメリットもあるものの、デメリットをもたらすリスクがあるのが注意点です。機能性表示食品がよく売れて人気が出れば話題になり、ポジティブなブランディング効果が出ます。しかし、おいしくない、効果がないといった口コミが広まるとネガティブなブランディング効果が生じてしまうのです。
消費者から喜ばれる製品に仕上がっていないと他の製品まで売れなくなる可能性があるので注意しなければなりません。
機能性表示食品の開発は売上を伸ばせる可能性が高く、開発メリットは大きいと言えます。ただ、開発コストが大きく、営業やマーケティングにも費用がかかることは否めません。売上が伸びても利益が減るリスクがあることを念頭に置いて開発を進めましょう。
特にブランディング効果を狙うときには消費者にとってより良い製品を生み出すことに力を注ぐのが大切です。