機能性表示食品と保健機能食品には違いがあるの?

機能性表示食品は健康に寄与してくれると期待できるため、積極的に選ぶ人も多くなってきました。ただ、同じように健康に良いという表示がなされている食品がいくつもあります。保健機能食品は機能性表示食品と何が違うのかが気になっている人もいるでしょう。

この記事では食品表示に関連付けながら機能性表示食品と保健機能食品の関係を説明します。

『機能性表示食品があれば魚を食べなくても良いの?』

機能性表示食品と保健機能食品は全く同じものではありません。保健機能食品という大きな枠組みがあって、その中の一つとして機能性表示食品が定義されています。日本では厚生労働省を中心として運用されている健康や栄養に関する食品表示制度があり、その中で栄養成分の表示について詳しい定めがあります。

栄養成分表示はカロリーやたんぱく質の含有量などを記載するのが基本です。栄養素の表示基準値や表示のルールなども定められていて、表示の際には客観性のある分析結果に基づくデータを示さなければなりません。また、栄養成分の含有量が優れているからといって強調表示をすることはできず、あくまで表示によって栄養学的な判断ができるようにするのが目的になっています。

しかし、特定の成分を機能や用途と合わせて表示したい場合もあるでしょう。その際の表示についての制度が整えられていて、保健機能食品または特別用途食品として認められれば表示が可能になります。特別用途食品は一般の人向けではなく、腎臓などの病気で栄養を制限しなければならない人や妊産婦、乳児などに適した食品が用途と合わせて示されています。

一方、保健機能食品は含有されている成分の機能の表示が可能なのが特徴です。現行の制度では保健機能食品には3種類あり、機能性表示食品とは別に特定保健用食品と栄養機能食品があります。

機能性表示食品は保健機能食品の中で、企業等の届出者の責任において機能性が定められて表示されているのが特徴です。保健機能食品は成分の機能を表示するときに科学的根拠を求めています。機能性表示食品として販売をするためには表示したい機能性について検討して明確な文言として確定した上で消費者庁に届出なければなりません。

届出の際には文献の調査や独自の臨床試験結果などのデータに基づく科学的根拠を示し、表示を希望する内容が正しいことを説明する必要があります。消費者庁では審査をするわけではなく、表示内容が科学的根拠によって支えられているかを確認するだけで届出を受理します。

そのため、表示内容について届出者が責任を負うルールになっているのです。機能性表示食品は審査のプロセスがないので受理されるまでの期間が短いのが特徴です。企業としては開発した食品に機能を表示して早く売り出したいと考えるのがもっともなことでしょう。

独自の成分や科学的根拠を持っていれば他社との差別化もできます。そのため、企業にとって大きな魅力がある保健機能食品として着目されています。

機能性表示食品と保健機能食品の違いを詳しく理解するには特定保健用食品や栄養機能食品との違いも理解するのが大切です。特定保健用食品はトクホと呼ばれている保健機能食品で、保険効能成分を含んでいるのが特徴です。

保険効能成分は体の生理機能などに影響を及ぼすことが科学的に明らかにされている成分で、摂取によって健康の促進などの保健の目的の達成を期待できます。特定保健用食品が機能性表示食品と大きく異なるのは、国によって審査をしてもらい、許可を得なければ認められない点です。

機能性表示食品の場合には届出を受理してもらうだけなので審査はありません。有効性や安全性について国が審査を実施し、国が責任を負う仕組みになっているのが特定保健用食品です。特定保健用食品は健康増進法によって厳しく定められているので審査を通るのが簡単ではありません。

審査期間も長いことが多く、企業としてはリスクを負いながら申請することになります。消費者としては国が責任を負ってくれる安心感がありますが、科学的根拠があるという点では機能性表示食品も同じです。責任の主体が異なることと、企業などの申請者だけでなく国も根拠を確認しているのが相違点です。

機能性表示食品と栄養機能食品にも明確な違いがあります。栄養機能食品は特定の栄養を補給する目的で使用される食品で、栄養成分についての機能表示が認められているのが特徴です。栄養機能食品は機能の表示をすることができる成分として認められているミネラルやビタミンなどを一定の範囲の量だけ含んでいます。

少なくても多くても栄養機能食品としては認められません。表示できる機能や注意喚起表示などについても制限が食品表示基準に明確に定められています。栄養機能食品は自己認証制度になっていて、許可を受けることも届出をすることも不要です。

栄養成分の含有量を表示することで機能をパッケージなどに記載できます。機能性表示食品と違って特定の成分に着目して表示することや、表示内容を工夫することはできません。あくまで栄養としての機能がよく知られていて補給の助けになる成分を使用しているときだけ栄養機能食品にすることができます。

機能性表示食品と他の保健機能食品の違いを見てみると、機能性表示食品は企業にとって大きな魅力があることがわかるでしょう。独自研究を進めてきた成分を活用したり、機能の表示の仕方を工夫したりして魅力のある食品を世の中に打ち出せるからです。

審査が必要ないので比較的短期間で新製品を市場に出すことができます。特に研究を率先しておこなってきた企業にとってメリットが大きく、次々に機能性表示食品が生み出されているのが現状です。特定保健用食品に比べて敷居が低く、独創的な付加価値を付けられることからベンチャー企業からも着目されているのが機能性表示食品です。

今後も機能性表示食品は増えていくと期待されます。

機能性表示食品は保健機能食品の一つで、企業などの届出者が機能の表示内容について責任を負うのが特徴です。国は審査をせずに表示内容に科学的根拠があるかどうかを見定めて届出を受理しています。企業にとっては独自の付加価値を付けるにも、短期間で保健機能食品を世の中に打ち出すのにも適しているため、機能性表示食品が魅力的だと捉えられています。